【特集1】舞台『死刑島 2023』演出・小堀智仁 インタビュー

7月26日(水)より池袋シアターグリーン BOX in BOX THEATER にて上演される舞台『死刑島 2023』。同作は、「ザ・シェフ」「女医レイカ」などの漫画原作者としても知られている剣名舞が、舞台のために書き下ろした原作をもとに、「死刑島」と呼ばれる無人島にある収容所を舞台に展開するサスペンスフルなドラマだ。

今回、この作品の演出を手掛ける劇団虹色くれよん主宰、小堀智仁に話を聞いた。

脚色・演出の小堀智仁氏(劇団虹色くれよん)


―「死刑島」という作品は2019年の初演から数えて4回目の公演となるそうですが、小堀さんは過去の公演の際にも関わっていらっしゃいましたか?

小堀「この作品の歴史としては、2019年に初演があって、コロナで一年、間が空きましたが、2021年からは毎年上演されています。僕が手掛けたのは2021年と今年の2回です」


―「死刑島」というのは、小堀さんにとってはどのような作品なのでしょうか?

小堀「剣名さんのつくった原作を、話のつくり方というか構造を結構僕が好き勝手にアレンジをさせてもらっていて、遊ばせてもらっているというか。2021年と違うところは、前回終わったときから一つひとつのキャラクターをもっと掘り下げたいという気持ちが出てきていたので、それを今回できたかなと思っています。でも多分、今年の上演が終わったら、次は2024か2025になるかは分かりませんが、きっともっと進化させたいなという思いが出てくるんじゃないかと思います。その間に自分が体験したこととか、世の中のニュースだとか、そういうのを受けて解釈も変えてみようと思うこともあるだろうし、やはり生だからいろいろ変わるんですよね。だから、毎年常に更新しているイメージですね」


ー今回多くのキャストをオーディションで決められたとのことですが、稽古場の雰囲気はいかがですか?

小堀「全体の3分の2くらいが、完全新規のオーディションの方ですね。僕自身は座組の雰囲気は悪くないんじゃないかなって思っています。芝居をつくるときに緊張感は大事なんですが、演出家が怒鳴ったりとか、不必要にピリピリするのは大嫌いなので、そういう意味ではいいんじゃないかなと思っています」


ーダブルキャストも多くかなりの数の出演者がいますが、その理由を教えてください。

小堀「僕は可能であれば全部ダブルキャストがいいと思っているんですよ。一つは単純に役者の数が増えれば、お客さんが多く呼べる。もう一つはコロナの頃に体験したことですが、やはり本当に直前で役者が来られなくなるということがあり得るので、極力ダブルにしたい。ただ僕の好き嫌いで決めているというよりは、そういう集客とリスクヘッジ、それに加えて大人の事情というのもあって、それがシングルとダブルが混在している理由です」

舞台『死刑島 2023』の稽古風景


ーダブルキャストだと稽古も大変なのでは?

小堀「いや、きついですよ。役者からすると練習時間が半分じゃないですか。1か月半でつくるとして、その半分だと3週間分ぐらいしかない。それでつくるというプレッシャーが役者にはあると思います。演出する側としてもダブルキャストはきついですね。シングルだともっと役に関して深く話し込んだりできるのですが、ダブルだと個性があるから、それぞれのキャラクターをそれぞれが演じる意味を持たせるために、押し付けは僕はしないんです。自分のつくったキャラクターと役者とのあいだの部分をとる、みたいな。歩み寄ってもらって、あいだの部分で1つのキャラクターとして動いてもらうっていうのが僕の理想なので。そうなると、それを2人分やらなきゃいけない。やはり大変ですよね」


―稽古場では同じ役を演じる二人が顔を合わせて稽古されてましたが、火花を散らしながら…ということもなく、和気あいあいとした稽古場でしたね。

小堀「実は水面下では意識しているみたいですよ。人間的な好き嫌いじゃなくて、逆班の人がこういう芝居をしているから、、じゃあ私はこういう方向でいこうとか、同じことをトレースしないようにしている人たちは結構います。相手の演技をみて真似ようでもいいし、そっちにはいかないようにしようでもいいし、とにかく自分が一人でやっている時よりもよりいろんなことを考えるようになるので、それがダブルキャストのメリットのひとつでもありますね」


―最後に、これから舞台を見る方に見どころ、メッセージをお願いします。

小堀「僕が考える話としては、死刑に対する賛否ではなくて、実際に死刑になった人たちにも 背景がある。でも、その背景があるからと言ってやったことは許されるわけじゃない、ということ。一つの事件をとってみてもその裏に何があるのか、というのを考えるきっかけになればいいかなと思っています。

稽古場での小堀氏(左)と、原作・総合監督の剣名舞氏(右)


「死刑島2023」

日時:2023年7月26日 (水) ~2023年7月30日 (日)

会場:池袋シアターグリーン BOX in BOX THEATER

WEB: https://kaitu0.wixsite.com/nijiiro


<ストーリー>

「死刑島」と呼ばれる孤島の収容施設の一室で目覚める8人の男女。彼らは殺人罪で移送されてきた確定死刑囚だった。お互いの名前もわからない8人はそれぞれ好きな漫画のキャラクターを名乗る。

謎の声の人物からのパズルゲーム、毒入りペットボトル、リベンジャーの存在…疑心暗鬼がそれぞれの中に生まれ、1人ずつが過去の罪状と心の内を吐露してゆく。そして物語は驚愕のエンディングを迎えるのだった。

2021年に上演された「死刑島2021」の再演!あなたはこの結末を見抜けるか…!?


<公演日・開演時間>

7月26日(水) 19:00【罪】

7月27日(木) 19:00【罰】

7月28日(金) 14:00【罪】 / 19:00【罰】

7月29日(土) 14:00【罰】 / 19:00【罪】

7月30日(日) 12:00【罪】 / 16:00【罰】

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舞台『死刑島 2023』主演・絲木建太 インタビュー

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舞台『死刑島 2023』 ゲネプロレポート-なつほblog

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