1973年に若きつかこうへいが発表し、翌年には最年少で岸田國士戯曲賞を受賞した不朽の名作「熱海殺人事件」が、4月30日から5月4日まで東京・新宿シアタートップスで上演されます。
錦織一清演出、松村彩永プロデュースで、木村伝兵衛役を宮原奨伍、熊田留吉役を渋谷天笑、水野朋子役を松村彩永、大山金太郎役を新井元輝が演じる話題の舞台。
その稽古場レポート第二弾、前回に引き続き、プロデュース/出演の松永彩永さんのインタビューをお届けします。
インタビュー Part1はこちら
Q/俳優として、今回の役柄については?
A/楽しいです。楽しいですが、やったことのない表現もところどころありますし、つかこうへいさんの作品に出てくるキャラクターたちは特徴的な言い回しをするというようなイメージが強いので、あまりそれにとらわれすぎないようにしたいとは思っています。とはいえ、やはり作品に対するイメージを持っているお客さんもたくさんいらっしゃるので、それも壊さないようにしつつ、そこが足かせにもならないように、自分の芝居が出来たらいいなと思っていますね。
4人だけで2時間ちょっと、かなりの分量のお芝居です。音にとらわれず、セリフにとらわれずというか、とにかく目の前にいる相手とちゃんと会話を成立させて。錦織さんは「魂がぶつかり合う」と表現されていましたが、まさにそれが一番の理想です。細かいことにとらわれずに、4人で闘えたらそれが一番いいなと思っています。
Q/今回の「熱海殺人事件」は「クォリファイングトライアル」というバージョンで上演されるそうですね?
A/そうなんです。珍しいバージョンでほぼ出回ってないバージョンです。ニシキ(錦織一清)さんと元北区つかこうへい劇団の蓮見正幸さんという方が脚色したものになります。少ないながらもいろいろ見てきた中では、個人的にこの台本がすごく好きなんです。だからこの本でやろうと言ってくださったときはとても嬉しかったです。去年大阪で、TENSHO座でやっていた「熱海殺人事件」もこのバージョンで、実は私も大阪に飛んで見に行ったんですよ。もちろん同じ台本でも、口立ても入ったりするので、内容は前と変わりますが、ベースは同じ台本でやったんですけど。面白かったです。
マニアな方なら、「あ、そのセリフって部長が言ってたはずだけど、水野が言うんだ」とか、気づく方は気づくかもしれませんね。いろんなバージョンがありますが、個人的にはとてもバランスが良くて見やすい作品になっていると思ってます。
ニシキさんは、常につかさんの存在を感じながら演出をしてくださっているんです。それがすごく伝わってくるんですよね。つかさんへのリスペクトがある上で、私たちに彩を与えてくださっています。良い意味で、ニシキさん節がしっかりあります。この作品、本当に面白いです!
Q/今回、20歳と若い新井元輝さんが金太郎役ですが、彼については?
A/少し話が戻りますが、キャスティングの時に大山金太郎を誰にしようかと私はずっと悩んでいて、何人かいた候補の方とはスケジュールが合わなかったりして、難航していたんです。そんな時ニシキさんから天笑さん経由で連絡をもらいまして、金太郎役は新井くんが絶対いいとおっしゃっているとのこと。それですぐ、新井くんに決まりました。こんなに若い俳優さんをキャスティングできるだなんて夢にも思っていなかったので、すごく嬉しかったです。等身大の金太郎は、説得力を与えると思うんです。金太郎って愛情のバランスがうまく取れない人なんですよね。で、若いからこそやってしまう愚かさってあるじゃないですか。それって、演技が上手い下手とかじゃなくて、等身大じゃなければ表現できない部分があると思っていて。等身大だから、立ってるだけで説得力あるんです。だから新井くんが金太郎になってくれて、本当に嬉しいです。
「今回の舞台は全部が見どころ!」と言いたいんですが、強いて言うなら新井くんですね(笑)「もう一度やらせてください」って何回もやり直したりする、そういう一生懸命なところ、純粋なところも金太郎っぽいというか、私は本当に彼でよかったなと思っています。ぜひ、皆さまに応援してもらいたいです。
Q/最後にこの座組ならではの「熱海殺人事件」の見どころを教えてください。
A/今言った新井くんの魅力もそうですが、私自身、本格的につかこうへい作品に挑むのは初めてなので、もしかしたら、今まで皆さんが見ているつかこうへい作品とは少し違った色になるかもしれません。それはそれで、新井くんと私は一緒に新しい風を吹き込めたらいいなと思っていますし、それをつかこうへい作品を経験するお二人がサポートして下さり、さらにつかこうへいさんを知る錦織さんが指揮をとり味付けをしてくださるので、魅力的な作品になるのではと考えています。皆さんに楽しんでいただけるように、さらなる高みを目指し続けたいと思います。ぜひ見にいらしてください!
舞台「熱海殺人事件」公演概要
『熱海殺人事件』
作・つかこうへい 演出・錦織一清
●出演
木村伝兵衛 役 / 宮原奨伍
熊田留吉 役 / 渋谷天笑
水野朋子 役 / 松村彩永
大山金太郎 役 / 新井元輝
●あらすじ
部長刑事・木村伝兵衛(宮原奨伍)、富山から赴任してきた新任刑事の熊田留吉(渋谷天笑)、そして婦人警官の水野朋子(松村彩永)が、熱海で起きた殺人事件を捜査していく中で容疑者・大山金太郎(新井元輝)を取り調べ "一流の" 犯人として仕立て上げていくーー。
●公演スケジュール
2025年4月30日(水)〜 5月4日(日)
4月30日(水)14:00/19:00
5月1日(木) 14:00/19:00*
5月2日(金) ー/19:00
5月3日(土) 14:00/19:00*
5月4日(日) 15:00
*=公演後アフタートークあり
●場所
新宿シアタートップス
〒160-0022 新宿区新宿 3-20-8 WaMall TOPS HOUSE ビル4F
●チケット購入ページ(CoRich)
https://ticket.corich.jp/apply/353624/
●公式ホームページ
<錦織一清演出×松村彩永プロデュース『熱海殺人事件』2025年4/30〜5/4 特集ページ>
Part1 https://tokyofun.themedia.jp/posts/56708464
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